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in the curved air紹介文

phonehead氏に作品紹介文を書いてもらいました。
色んなことを感じてくれて、作品に対する気持ちが溢れ出てます。嬉しい。
本当ありがとうございます!
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このmixcd+bookletからなる「in the curved air」は暗闇のなかで人影がビートに揺れている光景に取り憑かれてしまった男DJ MALTAと、キャンバスにインクで重力を塗り込めることができる女UC EASTの共作です。いわゆる”○○beats”や”downtempo”というような価値観や美意識を参照しつつも起点と終点が全く異なったfunk musicと山水画にも通じるようでいて、同時に生物体のバイオニックな断面図でもあるようなアーティフィシャルなdrawingが遠くて近い場所に連れて行ってくれます。音と絵を巡って、「音をキャンパスにして絵を描く」あるいは「キャンパスに音を表現する」逆に「筆致や図像を音響化する」そういうことを共時性•共空間性という言葉に守られた安全圏で表現するのが、いわゆるLIVE PAINTINGならば、ここにあるbpm90の額装や油性のbass linesはまさにDEAD PAINTINGと呼ぶに相応しいものでしょう。動機がまるで違うのです。音と絵が表現として、そうそう簡単に一つにならないし、なってたまるか、両者はそれぞれ固有のものとして鳴らし替えのきかない、描き替えのきかないものである。という二人の気高い意志が込められているし、だからこそ成立したコラボレートであり、果たされた約束なのだと確信しています。

散歩を趣味とする人でなくても、いつも通る道で明らかにそこだけ空気の違う場所というがあると思いますが、それをcurved airという言葉で呼ぶ事で、遠くて近い場所として現出させています。

再生するとABSTRACTという一つの究極性のもと、耳と目を奥にある「イメージの場」にてビートとインクがいままさに出会った瞬間を結晶化したクリスタルが鈍く光ります。永続的に出会い続ける二者の様子をパッケージングすることに成功した傑作の登場です。

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